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下町の顔
FACE

第33回
『毎日が宝さがし』

<プロフィール>
昭和40年、茨城県に生まれる。立命館大学卒。
雑誌記者を経て、平成13年、フリーライターに。現在、東砂在住。
趣味:落語、芝居鑑賞。
すなしま編集長
小田部 雄芳さん

砂町、大島近辺を中心に展開する「すなしま」という地域情報誌があります。年に3〜4回の発行ながら、地元の人や土地の歴史が細かく紹介されている興味深い雑誌です。どんな人たちがつくっているのでしょうか。
今回はその「すなしま」の編集長にお会いします。


1.もっと街を楽しもう
★まず「すなしま」はいつ頃からはじめたんですか?
えーっと、創刊準備号を出したのが2002年の12月なので、実際に動き始だしたのは2002年の6月ぐらいですかね。

★はじめられた動機は?
なんではじめたかっていうと…
仕事がなかったからでしょうね。当時、あまり仕事がない時期でして、仕事とは関係なく何かやることないかなって思ってたんです。
そこで、ちょうどこの地域には興味があったし、見てると結構おもしろいネタいっぱいあるし、そういう話をちょっと掘り起こしたら楽しいかなと思って。
それで、もともと本業がライターでしたし「谷根千」さんをちょっと参考にさせていただいてはじめたのがきっかけでしょうかね。

掘り出しものにも出会えます
★ああ、「谷根千」さん。地域情報誌としてはある意味一番有名ですよね。
大手出版社が出す街案内に載ってるようなお店紹介とかじゃなくて、人とかそこの歴史とかでやりたいなと思って。
それに、江東区にはタウン誌「深川」っていう大きな雑誌があるじゃないですか。ここは「深川」さんもあまり手をつけてないとこですしね。
ただね、こっちって深川方面に比べて田舎にみられる場合もあるような気がしてねえ。

★田舎?まあ歴史は確かに向うの方があるかな。いわゆる本所、深川ですからね。
砂町は、全部戦争で焼けてますからね。古い店でも、銀座ホールあたりで60、70年ちょっとですから。

★でも庶民がそのまんま素で生きてる地域っていう意味では、こっちのが下町っぽいかもしれませんよね。深川の方はちょっと観光地っぽくなっちゃってますものね。
そうです。ええ、その辺のおもしろさがありますね。安かろう悪かろうなんですけど、中には「えっ」と思うような店があって、そこで意外と掘り出しものに出会えたりなんてこともある。
どこでも気取らずに行けるっていうか、誰とでも気取らずに話せるというかね。そこがまたいい。
ここって、ちょっと前には洪水ですぐ水びたしになっちゃったりするような土地でしたよね。いろんな人が苦労してるっていうのかな。そういう土地だからこそ、なんかしらの成り立ちって絶対あるんだろうなって思いますよ。
ただね、新しく入って来る人も多いんですけど、町を素通りしてるっていうがわかるのが、ちょっとね。

★素通り?
なんか住んでいるだけで、買い物は大手スーパーで済ませて、仕事時間はみんな都心に行っちゃうじゃないですか。休みの日も遊びに行くのはここじゃなくて新宿だったり、渋谷だったり。なんかもうちょっと地元で楽しめるっていう利用方法の提案をしていきたいんです。

★「すなしま」っていえば、砂町、大島の略ですよね。範囲はやっぱりその辺に限定してるんですか?
まあ、一応、亀戸も入ってますけど、特に線引きはしてないんです。ネタとして取り上げる時、自分がおもしろいって思える範囲でやってます。ぴっちり線を引いちゃうとつまんない。

★ああ、それはわかるなあ。ちょっとはずれたところにいい店があって、それが入れられないのはさびしいですもんね。ところで「すなしま」は何人で作られてるんですか?
基本的には、私とうちのカミサンと、あとは絵はお手伝いしてもらってる画家さん、文章を書いてもらってる方の4人ですね。

「すなしま」表紙
★ほとんどもう2人でやってるようなもんですね。それも大変ですね。他に人を使うとかってことはないんですか?
それだと、なかなかまとまらないですね。

★金銭的な問題もあるんでしょうね。タウン誌の人もいろんな人に会いましたが、儲かってるって聞いたことないですもんね。
儲からないですねえ。全然、儲からないですよ。これで生活できるとかってもんじゃないですねえ。

★今後「すなしま」でやっていきたいことはあります?
そうですねえ。あの直接的な問題だと、スポンサーをつけたいですよね。それがつけられるようなものになりたいですしね。
これは別に金銭的な意味だけではなく、スポンサーになるべき人がよくやってるなって認めてくれるようなことをやりたいということですね。
直近の話では、神社、仏閣を集めて、再建にまつわる話とかはおもしろいかなとも思ってますし、あとは職人さんの世界とかね。それと町から消えたものってあるじゃないですか、工場だったり、映画館だったり。そういうものにかかわった映写機士さんとかも、今、自分で探してますね。そんな人達も探せばいるんじゃないかと思ってます。

2.人がつながって街ができる
★「すなしま」は現在8号まで出てますよね。その間、嬉しかったことはありますか?
それはもう毎回ありますけど、反響が嬉しいですよね。記事にした人からの御礼なんかももちろん嬉しいですけど、読者からの声ですね。こういうの教えてもらって良かったですとか、自分の知らないような話をここまで書いてくれて感動しましたとかね。
他にはその延長としてですが、人とのつながりができたことですかね。

★人とのつながりが、地域の中でできてくるのはうれしいですよね。
やっぱり、紹介したとこっていうのは、その後も続きますからね。親しくなった人もずいぶんいますよ。
それと、こういう人に会えて良かったって思うだけで充分って感じちゃうこともあるんです。
例えばね、ちょっとしたことなんですが、江戸切子の特集をやった時のことです。お伺いした先の職人さんに商品を撮影をしたいと言ったら、自分の大事な作品を貸してくれたんですよ。しかも箱にいっぱいの量をわざわざ家にもって来てくれて、撮影まで手伝ってくれました。
ああいうことは嬉しいですね。

★先ほどの質問に関連するかもしれませんが、これをやってる醍醐味ってなんですか?
そうですねえ、やっぱり発見ですよね。こうやって深くしゃべらないと、そういう人っていたのかって気がつかないじゃないですか。付き合いが深くなればいろんなものが発見できますし、なんか宝さがしですね。これは人と会うことのみではなく、街歩きも同じことが言えますね。

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