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元さんのとっておき
■第59回 『下町小僧』
03年03月15日
タレントのなぎら健壱さんっていますよね。彼が書いた本に「下町小僧」というものがあります。まあ、他にもたくさん書いておられるんでしょうけど、この本は特におもしろいです。
この本は、なぎらさんが少年時代にやってた遊びや周りで起こった出来事を、生まれ育った下町を絡めて書き綴った本です。

なぎらさんというと、下町を体表するタレントってイメージがありますよね。テレビ東京のアド街ック天国なんかでも、下町の街が取材地の時って必ずと言っていいほど出演してますものねえ。
そんな訳でこの本も昔ながらの下町の風景がたくさん出てきます。
ベーゴマやめんこの話、駄菓子屋の話、当時テレビでやってたアニメの話、紙芝居屋さんの話、貸本屋の話、もんじゃ焼やコッペパンなどの当時の食べ物の話。
読んでいると本当に懐かしくなっちゃいます。あーそういうのあったよねえって、思わず納得しながら読んじゃいます。また挿絵を栗山邦さんという方が書いてるんですが、これがまた本の内容に合ってていい雰囲気を出しているんですよねえ。

しかも内容が恐ろしく細かいんです。
例えばめんこの話。めんこの種類から始まって、めんこの持ち方、めんこの色々な遊び方まで書いてあって、それはそれは詳しく書いてあります。まるでめんこの解説書みたい。そんな話がめんこの事だけに限らず、ビー玉に関しても、ベーゴマに関しても、駄菓子屋さんのお菓子に関しても、それこそ下町の遊びの事に関して全般詳しく載っています。
この本を書くにあたって、なぎらさんは何度も何度も書き直したそうです。資料もたくさん集めたんでしょうねえ。昔の事ですから思い出すのも大変だったと思います。なにしろ書き上げるのに足掛け1年半もかかったそうですから。まあ、それだけ手間がかかってますからやっぱり細かいですよねえ。

なぎらさんは銀座で生まれて小学校3年生の頃葛飾区に引っ越しているので、この本はその地域の話がメインです。私が扱っているエリアとはちょっとずれるんですが、昔の下町の子供なんてみんな同じような事やってたんですねえ。私が読んでも共感できる部分だらけです。
ただ、なぎらさんが小学生の頃って昭和30年代で、私は40年代なんですよね。そこらへんでちょっと時代的には知らない話もほんの少しあったんですが、まあそれほど気にはなりませんでしたね。

実は、この本自体は初版は1988年に発行されたものなんですが、今読んでも全然違和感は感じませんね。
まあ、内容自体がリアルタイムなものでなく、昔の話だからというのもあるんでしょうけどね。
最初はデータハウスより単行本で出たんですが1994年にちくま書房より文庫本も出ています。
私が最初この本に出会ったのは単行本版で、近所の図書館でした。最近の図書館ってホントにどんな本でもあるんですね。漫画なんかもたくさん。読書や勉強をしにきてる人達に混じって漫画を読みに来てる子供も結構いるんですね。
まさかこんな本が図書館で見つけられるとは思わなかったです。早速、借りて一気に読んでしまいました。その後、文庫本版を本屋で見つけて思わず買っちゃいました。私は一度読んだ本をわざわざ買うなんてことあんまりしないんですが、なんか手元に置いておきたかったんですよねえ。まあ、そのぐらい私にとっては価値があったんですね。
下町を紹介する本や、昔の遊びを書いた本はたくさんありますけど、こんなに読みやく、奥の深い本は他にないと思います。是非ご一読あれ。

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