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| ■第89回『錦糸町河内音頭』 |  
| 04年08月15日 |  
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先日、錦糸町の河内音頭を見に行ってきました。
 河内音頭っていえば、名前に河内ってつくぐらいですから大阪のお祭りですよね。主に浪曲のリズムをベースに踊るちょっと変わった盆踊りです。
 でもなぜか東京の錦糸町でもやってるんです。確か関東でやってるのはこの錦糸町だけだったと思います。
 
 まあ、浅草がリオのサンバカーニバルを、高円寺が徳島の阿波踊りを、それぞれまねてやってるのと同じようなもんです。
 でも、まねっこっていう表現も、この2つに関してはもう正しくないでしょうね。なぜって、ただ単に柳の下のドジョウを狙ってやってるってレベルじゃなくなってますから。
 確かに最初は、集客のためには既存の有名なイベントと同じものを自分の土地でもやったらいいんじゃないかってえのが、スタートの理由だったんでしょう。
 まあ安直っていえば安直ですよね。
 でも昭和32年に、見よう見まねで商店主達が始めた阿波おどりは、今年で第48回目。3日間ある開催日にはのべ120万人の人間を集めるまでに成長しています。
 また浅草のサンバカーニバルにしてもそうです。昭和56年に始まったこのイベントは今年で24回目を迎え、約50万人の観客が足を運びます。
 何十年もかけてこつこつとやってきたからこその結果なんでしょうね。きっと今日に至るまでにはいろんな試行錯誤もあったんでしょうねえ。
 ここまで積み上げた企画ですからね、ものまねとはもう呼べないですよね。
 そして錦糸町の河内音頭。昭和57年に始まり今年で23回を迎えます。
 観客動員数は5万人程度ですから、浅草、高円寺に比べればまだまだですけど、このイベントも着実に地域に浸透しつつあります。
 
 最初は丸井の裏の空き地で始まったこのお祭りは年々観客が増え、竪川親水公園で開催されるようになりました。首都高の高架下ですね。
 そして去年からは京葉道路の一本南にあるダービー通りに移ってきました。
 これはどういうことかというと、公園でやってた祭りが一般公道を封鎖してでできるようになったってことです。
 公園での盆踊りって許可を得るのはそれほど難しいことじゃないはずです。でも公道を閉鎖してってのはなかなか難しいと思うんですよ。
 だって町会や学校の盆踊りって当たり前のように公園でやってるでしょ。でも公道って交通渋滞をまきおこしたりなんだかんだと弊害がありますからね。許可をとるのって手間が結構かかるんですよ。
 それと管轄も違いますしね。公園の管轄はお役所、公道は警察です。警察の方が厳しそうな気がしません?
 つまり、行政も認知するくらい大きなお祭りになったってことだと思うんですよ。
 
 でも公道に移って一番良かったことは、地域の人々が潤ったってこと。
 ダービー通りって行ったことありますか。この通りって土曜日、日曜日になると、場外馬券場へ来てそのまま競馬中継を見ながら酒を飲んでる人がたむろしています。
 当然、お酒を飲ます店も道沿いにはたくさんあります。
 でも近年、みんな電話で馬券を買っちゃうんだか、景気が悪いんだか、人出がぱらぱらなんですよね。
 中央競馬って土、日だけだから、かき入れ時がこれじゃ商売あがったりですよね。
 ところが、河内音頭の日は大繁盛。目の回るような忙しさだったんじゃないでしょうかねえ。
 公園で開催されてた時も確かに夜店なんかは出てたけど、公道に移ってからはかなり地域の商店に還元できたんじゃないかと思うんですよ。
 ちなみにこのお祭りの主催は錦糸町の商店街です。
 だから尚更、地域にお金が落ちれば主催者としてはうれしいですよね。
 
 ところで、河内音頭って一般的な盆踊りとはかなりイメージが違んですよ。
 まず特徴的なのは伴奏も唄も生演奏だってこと。普通の盆踊りだったら生の部分って太鼓ぐらいですよね。
 通常は、盆踊りで太鼓を叩く人ってやぐらに乗って目立つ場所にいるのに、裏方のイメージって強いですよね。ところが河内音頭の場合、全てが生演奏だから音頭取りと呼ばれる歌い手までもが注目されちゃうんですよ。
 踊りなんて見ないで音頭取りの歌を聴いてる観客もいるぐらいです。
 そんな音頭取りだから、有名な人も出てきます。ほら昔、テレビCMに出てた河内家菊水丸っていますよね。彼も河内音頭の音頭取りです。
 もっとも、錦糸町の場合はそういうことに適した位置関係になってるんですけどね。
 普通は盆踊りっていうと、やぐらの周りを踊り手が円形に囲って踊りますけど、錦糸町河内音頭ではやぐらは端のほうにあって、その手前のスペースで踊り手が円になって踊ります。
 端っこにあるから一種のコンサートステージのようにも見えるんです。だからやぐらの前で聴き入る観客はコンサートを聴きにでも来た様にも見えちゃいます。
 まあもっとも、この配置が全ての河内音頭に共通してるのか、錦糸町だけかはよく知りませんけど。
 そして音頭取りにはもうひとつ特徴があります。最初に主に浪曲って書いたけど、あくまで多いのが浪曲であって歌う音楽のジャンルが決まってないんです。
 その時々によって変わるんですよ。ジャズ・ラテン・レゲエといった洋楽までありなんです。なんか不思議な盆踊りでしょ。
 
 そんな音楽でどうやって踊るんだろうって思っちゃいますよね。
 でも不思議と踊れるんです。
 踊りのテンポは速くて、動きも激しいほうかな。初めて見るとちょっとためらうかもしれないけど、それほど難しいものではないんですよ。お年寄りも小さい子供も踊っています。
 いくつかステップはあるみたいだけど、全然、関係ない。誰でも参加できます。
 見ようみまねで踊っているうちにきっと踊れるようになります。
 
 まあ残念ながら今年はもう終わっちゃいましたが、来年は是非行ってみてください。
 河内音頭。錦糸町を中心に広がりつつある、ちょっと変わった盆踊りです。
 何年か後には必ず、この辺りでは誰もが知る目玉イベントになってるはずです。
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