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元さんのとっておき
■第92回『下町のパナマ運河(中編)-江東デルタ地帯編-』
05年10月23日
前回の続きです。
さて荒川ロックゲートはなんでつくられることになったんでしょう。
ここには総事業費として70億円以上がかけられ、維持費としては年間約3千万円が予定されています。そこまでしてつくったんですから、それなりの理由ってあるんです。
いろいろ理由はあるみたいですけど、最も大きな理由は震災時等の支援活動のためなんです。

隅田川を新大橋から清洲橋へ下る途中に東に向かって伸びる支流があります。小名木川です。この川の東の端は旧中川にぶつかって終わっています。
このぶつかった地点を旧中川沿いにちょっと南に下ったところにできたのが荒川ロックゲートです。
これによって隅田川から小名木川に入り、旧中川を経て荒川へ抜ける水路ができたことになります。
荒川は北上すれば北区の岩淵水門でまた隅田川に行かれます。この隅田川、小名木川、旧中川、荒川という回遊ルートによって交通の便がよくなっただけでなく、隅田川のみならず荒川からも災害時に江東区、墨田区の内陸部への支援活動が容易になった訳です。

荒川と隅田川に挟まれた墨田区、江東区、江戸川区にまたがる地域は、その形から「江東デルタ地帯」と呼ばれているんだそうです。
地面の高さが海水面より低く地盤も弱いので、もし大きな洪水や地震がおこったら被害は相当大きいものになるようです。
確かにこのあたりは昔からゼロメートル地帯なんて呼ばれてましたし、川より地面のが低いから川に架かる橋はみんな「だるま橋」ですもんねえ。
まあ生まれながらにこの土地に住んでいて、小さい時からそういうことは言われてきましたから、今更あまり気にしませんが、荒川の堤防が決壊したら墨田区、江東区は助からないなんて聞くとやっぱりゾッとしますねえ。

でもそういう災害に弱い土地だからこそ、その辺りの対策強化ってのは他の土地よりも優れてるんじゃないのかなあ。
台風が来て、よく中野あたりで浸水したなんてニュースでやっているけど、このあたりでそんな話、聞いたことないですものねえ。
まあ、昭和20年代にキティ台風で江東区が大きな被害を被ったなんて話もあるにはあるけど、最近では聞かないですよねえ。
詳しくは知らないけど、たぶん下水道なんかがよそより大きくなってたりなんかして、水はけが良かったりするんでしょうね。

そういえば、荒川ロックゲートは阪神・淡路大震災クラスの地震でも耐えられるように頑丈につくられているそうです。また、前回も書きましたが日本最速の開閉速度の門を持っているのですが、これは災害時の船の通行が敏速にできるようにということなんだそうです。
そして、荒川ロックゲートを通過して荒川に出ると隣接する敷地には船の発着場があります。ここはレジャー用に観光船の発着、輸送船のための物流拠点などの用途も考慮されていますが、災害時の輸送のための中継地としての意味合いも含んでいるんだそうですよ。

こうして見てみると、いつのまにか降雨時の水はけが良くなっていたり、豪勢な閘門が造られるその影で災害時支援ネットワークができていたりと、天災に弱者のこの土地は知らず知らずに行政に守られているのかもしれませんねえ。
ありがたい話です。

ところで、ちょっと疑問が・・・
大地震が来たら陸路よりも水路のほうが輸送ルートとしては確かに有効な気はします。そういう事例があることも知っています。
でも津波が起きたら、水路が一発で通行不可能になってるってことはないんだろうか。

・・・この項、もう1回続きます。

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