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元さんのとっておき
■第90回『佃島念仏踊り』
04年08月28日
前回は錦糸町河内音頭の話を書きましたが、このあたりで盆踊りといえばどうしても見落としちゃいけない盆踊りがひとつありましたので、今回はその話です。
中央区の佃で7月の13日から15日まで毎年開かれる佃島の盆踊りがそれです。

この盆踊り、河内音頭みたいに規模が大きな訳じゃないんです。場所だって町会の一角でやってますし、それほど派手って訳でもありません。
何がすごいかっていうと、まあひとことで言えば歴史があるんですね。
この盆踊りって昭和51年に東京都の無形文化財に指定されてます。
東京都指定の無形文化財っていうと、このあたりだと木場の角乗りや木遣なんかもそうなんですが、盆踊りとして指定を受けてるのは佃だけですね。まあ東京都全体で見れば新島の大踊りとか他にも指定を受けてる盆踊りはあるんですけどね。
でも無形文化財っていうとなんか歴史がありそうな感じがするでしょ。
まあ、そもそもが昔から続く盆踊りってほとんど現存していないんですよ。なぜかというと、江戸から明治にかけて日本各地の盆踊りってたびたび禁止されてるんです。
質素倹約を旨とする時代に市民が娯楽を楽しむとは何事かなんて理由だったみたいです。
他にも男女の風紀が乱れるなんて理由で禁止されたこともあったようです。昔は今に比べて慎ましやかな時代でしょうからね、男女が一同に会するような場所は規制の対象になっちゃうんでしょうね。
まあ原因は他にも様々あったんです。
でもそんな中で、確か江戸市中で存続を許されたのはこの盆踊りだけだったようです。

歴史があるからなんでしょうけど、この盆踊りってある意味で本来の盆踊りの姿を継承しています。
元来盆踊りは、死後、戻ってきた霊を慰め、送り出すために催されてきた部分もあるんです。まあお盆に行なわれる行事ですからね、当然そんな意味あいはあるでしょうね。
東京では何度かたくさんの死者が出た事件がありました。明暦の大火や関東大震災、第二次世界大戦の東京空襲などですね。
その時、水死体が隅田川上流から流れてくるわけですよ。そしてこの佃って場所は隅田川が分岐する地域ですからここに引っかかるようにして流れ着くんですね。
はっきりした数字は知りませんが、それは相当な数の死体ですよ。
佃の盆踊りってそういう方々を供養する意味の盆踊りでもあるんです。
だから踊り場の片隅に精霊棚が据えられています。棚の中には「無縁仏」とかかれた掛け軸がかけられ、野菜が供えられています。
ここの盆踊りに行くと、年配の方に「まずお参りしてから踊って」と声をかけられることがあります。また、踊りのあいまに、参加者や見物客が線香をたててお参りをしています。
そして踊り自体もこの盆踊りが念仏踊りと呼ばれてるせいでしょうか、ゆったりしたテンポで踊ります。上手に踊るよりも、供養の気持ちで踊るほうが大切な気になります。
ね、そう考えると盆踊り本来の姿を残したいいお祭りでしょ。
まあそもそもは盆踊りっていうのは宗教色がけっこう強かったみたいですけどね。
お寺で念仏って唱えますよね。その念仏という宗教面と、踊りという芸能面が組み合わさってできた「踊り念仏」が盆踊りの母体とされているそうですから。

佃島念仏踊り、錦糸町河内音頭ともう終わっちゃった盆踊りばかりですと読まれてる方も消化不良を起こしちゃいますんで、これから開催されるものを最後にちょっと加えておきます。
今晩ですが中央区の浜町公園で浜町盆踊りが開かれます。正式名称は「大江戸まつり盆おどり大会」。これもいいですよ。主催は中央区です。
お金かかってますよお。パレードはあるし、いろいろな出し物も出ます。演芸ショーや消防記念会の梯子乗りなんかも見れます。企画にはちゃんとイベント会社が入っています。
普通の盆踊りとしてはけっこう大きな規模でしょう。
私は佃島念仏踊り、錦糸町河内音頭、浜町盆踊りの3つをSエリア三大盆踊りと名付けています。
まあ私が勝手に言ってるだけですけどね。